皆さん、こんにちは。えくえくです(#^.^#) フィリピンでは現在、東南アジア競技大会(South East Asian Games、英語略称:SEA Games)が行われており、これは東南アジア地域の友好、理解、平和と、オリンピック・ムーブメントの振興を目的としているそうです。
しかしこれを巡って、フィリピン人も呆れてしまうほどえげつないことをするテレビ局があるのです。それはフィリピンの最大手テレビ局「ABS-CBN」です。なわけで今回はタイトルの通り、かなりシビアな内容です。
1. SEA Games 2019
SEA 2019はフィリピン開催で、11月30日(土曜日)が開会式でした。大変華やかな開会式で、まるでオリンピックの開会式を見てるようでした(#^.^#)
上の表は12月2日現在のメダル獲得数です。日本や中国などの強豪国は参加してないものの、東南アジアの中ではフィリピンがぶっちぎりの強さです(#^.^#) 尚、この大会の大きさを報じてるのがこちら↓です。
After initial snafus, PHL now ready for bigger events – intl sports exec | BusinessMirror
そして我らの大将「ドゥテルテ大統領」が、まるで東南アジアの覇者のように見えました。そうです、この大会はフィリピン政府肝入りの国家的事業であり、国民が一丸となって盛り上げるべき大会なのです。しかし・・・
2. ABS-CBN
そしてSEA 2019開会式翌日の日曜日、No.1放送局であるABS-CBNの人気番組「ASAP」はイタリア興業でした。ちなみに私、けっこうテレビっ子です(-_-;) そして出演者はフィリピンを代表する大スターばかり・・・
EMEA - ASAP Natin 'To Goes to Rome
ご存じレジン・ベラスケス!!「フィリピンNo.1女性歌手」と言われる超大物です。
そして「フィリピンの彦摩呂」こと、コンサートキング「マーティン・ニーベラ」も参加しました。ちなみに「フィリピンの彦摩呂」は私が言ってるだけです(-_-;)
そして「国民的女優」エンジェル・ロクシンです!!
他にもフィリピンを代表する芸能人がイタリアに行きました。今まで行われたのは、Singapore (2012), Dubai (2013), Los Angeles (2014), London (2015), New York (2016), Toronto (2017), Honolulu (2018), and Sydney (2018)で、今年はイタリアのローマだったわけです。
逆に言えば、これだけの大物芸能人がSEA 2019の開会式やイベントに参加できなかったのです。SEA 2019は国家的なイベントです。そんなこと1年前からわかってるのに、このタイミングでやるのですから、「またこんな邪魔やってのかよ。こりゃ確信犯だな」というのが大方のフィリピン国民の見方です。しかもこの番組、開会式翌日の日曜日、最も国民が関心を持ちそうなタイミングにほぼ半日やってました。ま、面白かったんですけどね(-_-;)
しかしこれで困った人が一人いました。フィリピンを代表する歌手「レア・サロンガ(Lea Salonga)」です。SEA 2019の開会式で国歌斉唱を依頼されたのは当初レア・サロンガだったのです。しかし政府とABS-CBNとの板挟みに遭い、結局どちらにも参加しませんでした。芸能人も大変ですね、なんだかなあ・・・
そしてASAPの翌日の晩、abs-cbnのニュース番組「TV Patrol」を見ました。この時点でフィリピンは既に金メダル25個も獲得してたので、当然ダイジェストぐらいはやるだろうと思ってたのです。しかしスポーツコーナーへ行くまでに、なんとコマーシャルが15社ほどあり、「なんだこりゃ?」と思って待ちました。
ちなみに普段もコマーシャルは長めですが、15社なんて見たことないです。まあこの時点で妻も私もabs-cbnの意図はわかりました。要は「あんまり見てもらいたくないんだな」ということです(-_-;)
上の画像は女子重量挙げのヒディリン・ディアス(Hidilyn Diaz)選手です。2016年のブラジル リオオリンピックで銀メダルを獲った実力ある選手ですから、今回は当然金メダルでした。しかしスポーツの報道はこれだけなんです。フィリピン選手は25個も金メダルを獲ってるのに、ディアス選手のダイジェストとインタビューだけで終わりました。メダル獲得数の表示や他の選手のダイジェストもなしです(-_-;)
しかもディアス選手のご両親のアップまでありました。これ、なんでかわかりますか?ディアス選手の父親は自由党員でABS-CBNとはつながりがあるからです。この父親は「クズの中のクズ」トリリャネスという当時の自由党所属の政治家の一派で、オリンピックメダリストである娘に命じ、ドゥテルテ政権に不利な「フェイクニュース」を流させました。そしてそのフェイクニュースを流したのが「ABS-CBN」なのです。つまり共犯者なのです。
これ、憶測ではないのです。娘のヒディリンさんが言っちゃったんです。しかも公言でした。やっぱスポーツマンだから心苦しかったんでしょうね。しかしこの一件で彼女の人気は失墜しました。なわけで今の彼女は国民的ヒロインでもなんでもなくなってしまいました。
今回のSEA Gamesとは直接関係ありませんが、上の画像は先の中間選挙に絡むフェイクニュースの実行犯が自首し、逮捕された後の会見の様子です。「ドゥテルテ大統領の息子や大統領の側近ボンゴーの麻薬売買のフェイクビデオなどを作って配信し、自由党から50万ペソ(100万円)もらった」と、自首したのです。
おそらく自由党に消されると思って身の危険を感じて自首したのでしょうね。ドゥテルテ氏が大統領が就任するまで、麻薬絡みの裁判で勇気ある証人はことごとく殺されてました。しかもそれは半ば政府公認でした。日本の皆さん、そんなこと知らないですよね。
尚、外国人ジャーナリズムのいい加減さについては、以前アップしてますので、こちらも↓よろしければご覧ください!!
フィリピンから日本のマスコミに物申す - そうだ!フィリピンに住もう
そしてABS-CBNの看板番組「TV Patrol(ニュース)」の次は、もう3年も続いている人気ドラマ「Probinsyano」です。私も大好きで毎回見てます。他には「Killer Bride」とか前述の「ASAP」とか、コンテスト番組も秀逸で、面白い番組がたくさんあります。
要はABS-CBNの番組は面白いのです!!しかしニュース番組については以前から悪質な情報統制をしており、他の番組とのギャップが大きい不思議なテレビ局なのです。で、今回のSEA 2019は国家的事業、つまりABS-CBNは・・・
ドゥテルテ大統領肝入りの国家的イベントなんて国民には知らせないよ。政府の点数稼ぎなんて御免だ。やりたきゃ勝手にやってくれ!!
もちろんABS-CBN側はそんなことは言ってませんが、大方のフィリピン国民の目にはそう見えるそうです。まあ外国人の私の目にもそう見えますが・・・
しかし昨日、やっとABS-CBNのTV Patrolでほんの少しですが、ダイジェストを放送しました。
そしてABS-CBNのキー局であるスポーツチャンネルで、今日行われるフィリピンチームのバスケットボールの試合のことやダイジェストも少し放送されました。バスケットボールはフィリピンで一番人気のスポーツですから、さすがのABS-CBNもスルーできなかったのでしょうね。
では誰が悪いのか?実はテレビ局ではないのです。このテレビ局のスタッフには何の責任もないと言えます。ハッキリ言います、悪いのはオーナーのロペス一族です!!では「ロペス一族」についてこれから書きます。長いですよ(-_-;)
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3. ロペス一族
2016年の大統領選で「ABS-CBNの腐敗ぶり」に言及していたドゥテルテ大統領は、このテレビ局での選挙宣伝はできませんでした。そしてこのテレビ局は徹底的にアキノ率いる自由党の宣伝ばかりやってました。
しかし結果は皆さんご存知の通り、ドゥテルテ氏の圧勝でした。つまりフィリピン国民はわかっているのです、ABS-CBNのフェイクニュースは。そしてすでに国民に正体はバレてるにもかかわらず、いつまでもみっともないことをするのには訳があるのです。
ABS-CBNを経営しているロペス財閥です。ロペス財閥はテレビだけではなく、ラジオや雑誌など、フィリピン国内のあらゆるメディアを手がけており、大変大きな影響力があります。但しメディア部門は、ロペス財閥の一部門であり、主力となっている商売は電力供給や通信などで、他にはガソリンのCALTEXなどもかつて買収してます。
で、この話をするのには「故マルコス元大統領」時代まで遡らなければならないのです。だから長い話なのです(-_-;) 実はロペス一族がドゥテルテ氏と対立するよりも遥か以前、故マルコス元大統領時代にも政府との抗争はあったのです。
当時ロペス一族はマルコス氏を支持することで、政府との癒着を図りました。マルコス氏を強く支持することで、一族のフェルナンド・ロペス氏を副大統領の座に就かせることに成功ししました。そしてロペス一族はフィリピンの名だたる企業を次々と買収し、勢力を拡大していきました。
しかし経済的に力をつけていくロペス一族に恐れを感じたマルコス大統領は、ロペス一族を蹴落とそうとしたのです。そしてマルコス大統領は「既存のメディアは世論を操作して国家を転覆させようとしている」と、ロペス一族の運営するメディアを批判し、ロペス落としに躍起になりました。こうしてマルコス政権とロペス一族との抗争が始まったのです。
双方ともはあらゆる手段を駆使して相手への攻撃をしかけ、抗争を激化しました。その結果、マニラの電力問題など国民の間で混乱が広がったため、マルコス大統領は全国放送で演説し、国民の理解を得ようと試みました。しかしここでロペス一族は、とんでもない一手に出たのです。あろうことか、その演説の前に停電を発生させ、放送は中止になったのです。
これにはマルコス大統領の怒りもおさまらず、一族のメンバーを逮捕、そしてロペス一族に財閥を放棄させるにことになりました。このように「マルコス・ロペス抗争」は最終的にはマルコス政権側の勝ちで一件落着と思われましたが、それからまもなくしてマルコス自身も失脚することになったのです。そしてこれがエドゥサ革命です。1986年にマルコス政権の代わりにアキノ大統領が就任したことで、ロペス一族はまた勢力を取り戻すことになったわけです。
ずいぶんと長い説明になりましたが、ドゥテルテ大統領と放映権の更新問題で争うテレビ局ABS-CBNは、このロペス財閥の傘下にあるのです。ロペス財閥はABS-CBNを筆頭に、ケーブルテレビのスカイビジョン、通信会社のバヤン・テレコミニュケーションズの他、新聞社やラジオ局、また多くの雑誌も発行するフィリピン最大のメディア会社なのです。
しかしこのメディア事業は、ロペス財閥が抱える事業の一部にしか過ぎないのです。主力事業は、電力、高速道路建設、通信などで、フィリピンのライフラインのインフラを一手に掌握している財閥なのです。というわけですから、外国企業や投資家が経済活動をフィリピンで行う時は、ロペス財閥を無視してはビジネスはできないと言われてます。
こうしてロペス一族は、豊富な資金力をを武器に政治にも深く介入してきました。特にABS-CBNを自由に操れるロペス財閥は、自由に世論を操り、歴代のフィリピン大統領の選出に深く関与してきました。
4. まとめ
2016年の大統領選で、あからさまに「反ABS-CBN」「反ロペス財閥」を掲げて立候補してきた田舎の市長が現れました。それが現大統領ドゥテルテ氏です。尚、ドゥテルテ氏の父親ビセンテ・ドゥテルテ氏はマルコスの政権で内務相を務め、ドゥテルテ氏自身もマルコス政権下での職がありました。
そのドゥテルテ氏にとってロペス一族は因縁の政敵であり、ABS-CBNに対して不快な感情があることは間違いないでしょう。しかしドゥテルテ大統領に限らず、そんな私的感情だけで、命を懸けて政治活動をできると思いますか?いつ殺されるかわからないんですよ。
「かつてマルコス大統領が強権を振りかざしたように、現在はドゥテルテ大統領が強権を振りかざしている」と多くのジャーナリストが言います。そして「マルコス時代のようにメディアに圧力をかけ、ロペス財閥を崩壊させようとしている」とも言います。結論から言うと、全然違います、笑っちゃうぐらい違います。
そもそも強権的な独裁者の「支持率80%」ってあり得ると思いますか?あり得ないでしょ?フィリピン人はめちゃくちゃ自由な民族なんですよ。「支持率80%」は手法はともかく、それが正義だと思ってる国民が大多数ということです。
日本人を含む外国人ジャーナリストの目には「フィリピン人は強権に屈し、メジャーテレビ局にかんたんに騙される民族」とでも映ってるんですかね?私はそうとしか思えません。外国人ジャーナリストの目には「フィリピン人はバカ」とでも映ってるのでしょうか?私は「ふざけるな」と言いたいです。そもそもabs-cbnのフェイクニュースに翻弄されるならば、ドゥテルテ政権は誕生してなかったでしょう。自由党はabs-cbnを使い、さんざんドゥテルテ氏のネガティヴキャンペーンやってましたから。
そしてABS-CBNの放映権更新問題、これは大統領の私的感情の問題ではなく(ちょっとはあるかも)、法人税の未払い問題や災害時の募金が自由党の選挙資金に流用されてる問題、KBOなど違法な有料放送など数々あります。
長年、政権との蜜月関係で法人税の支払いを免れてきた企業に対し、「払わなければ営業権(ABS-CBNにとっては放映権)をはく奪する」と言うことのどこが強権で独裁なんですかね?法人税の未払い金額については長年の蓄積ですから、一説には数百億円とも言われてます。
それに対して同社、実は毎年法人税を毎年払っているのです。但し500万円とか1000万円の少額で、「一応払った」という既成事実だけは作っているのです。しかしたとえばですが、未払い金100億円に対して1000万円払っても、「未払いは未払い」というのが一般的な認識ですよね。
しかし一方では「BIRとの和解が成立し、1.5億ペソを支払ったから税金問題ではない」とする趣もあります。でも国民は本当に支払ったとは誰も思ってないんですよね。必ず裏があると・・・。
実は「17年間分で700億ペソ支払った」とする裁判所の決定もありますが、それを信じてる国民は少数、つまり裁判所のお墨付きも信じられない国なのです。ではなぜ国民は信じてないのか?それはその支払いの件が、PALの時のように大きく報道されなかったからです。これだけの巨額、普通に考えても、大きく報道されなきゃおかしいですよね。さて実際は・・・
これらの傍若無人ぶりを放置する方が異常じゃないと思いますが、最近この件は骨抜きになりそうな気配です。あれだけ強気の大統領が骨抜きにされるならば、もしかしたら身内に対する脅迫、或いはすでに誘拐されてるとか、何か裏があるような気がします。この国ではこんなことは日常茶飯事ですからね。いずれにしても何らかの取引はあったのかもしれません。
マルコス政権との比較で「歴史は繰り返すのか」と書けば、日本人を含む外国人の興味付けはできるかもしれませんが、繰り返すわけないんです!!というのは、もうABS-CBNの政治ニュースを鵜呑みにするフィリピン国民などほぼいないからです。つまり今のこの国では「情報操作で人心掌握は無効」ということです。
今回のブログ内容、日本在住の方にはどうでもいいような話ですよね。しかし私のような永住者には、これから生活していく上で、この国の行く末を読む必要があるのです。100年かけて腐らせてきた国、一人のスーパースターが出てきたからと言って、6年の大統領任期ではドブ掃除ぐらいしかできません。要は「2年後の大統領選でこの国の行く末が決まる」と言っても過言ではないでしょう。なわけで私はこれからもABS-CBNの動向に注視していきます。ではでは!!
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